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地域力をつける投資へ

(初出:『自治日報』04年2月13日号)


 今年の予算編成では、昨年末から年頭にかけて多くの自治体が予算の組み替えを余儀なくされた。言うまでもなく、三位一体改革の進行によって、06年度の地方財政計画の規模が3年連続で縮小したことが大きい。具体的には、地方交付税・譲与税特別会計の出口べースの交付税が16兆8900億円と6.5%も縮小したこと、それに加えて、臨時財政対策債も4兆1905億円と前年比で28.6%、1兆6791億円も減少したことが響いた。

 この交付税と臨時財政対策債の減少幅は前の年に比較して12%あまりになるという。この一般財源相当額のこれほどの前年割れは、今までにない衝撃となった。長野県のように主要な基金をほとんど取り崩したところもある。また、平良市では、歳出が歳入を上回る赤字予算を組んだ(3日、日経夕刊)。多くの他の自治体でも、予想を超える一般財源の規模縮小への対応に追われ、歳出の一段のカットと、基金の予定以上の取り崩しや財政再建債の借り入れ、さらに追加的な借入金を充当するような「カラ財源」に近い財源手当に走ったところもあるのではないかと危惧される。

 三位一体改革は、国庫補助金の廃止、税源移譲、地方交付税の総額の縮小、という改革を同時に進めるわけだが、少なくも08年度まで2年間は続く。われわれとしては、分権改革の財政基盤として補助金の廃止と税源移譲によって「歳入の自治」の確立を求め、さらに全国知事会などで検討が始まっている交付税改革の議論など、6月の経済財政諮問会議や政府税制調査会の論議を見ながら、国と地方の財政関係を組み立て直す努力が求められている。このような、マクロな議論を進める一方、この春から自治体現場では次のような改革も求められているのではなかろうか。

 第一には、既にある自治体ごとの「財政構造改革」、「財政健全化計画」、「財政改革推進プログラム」などの「財政計画」における一般財源の前提条件が変わったことを踏まえて、5カ年ないし、7カ年の「修正計画」を策定し、歳出構造転換の考え方をより明確に示す必要がある。「一律カット」による歳出削減には限界がある。どの分野のどの政策を伸ばすか、ビルドの方向を示すことが求められる。一律カットの歳出削減では、全体の施策が劣化するだけで、資金と人材の無駄が拡大する可能性が高い。

 その際に、予算改革として、各部局の責任を明確にし、各部局ごとに施策の優先順位をつけることを通じて歳出構造の転換を図ることを追求したい。さらに単年度予算の枠を超えて、予算の繰り越し等を行うところは、理由が明確であれば、その相当額を再配分する方式を含めて実現したい。

 第二には、そうして生まれた各部局の「余剰資源(財源と人材)」を、「地域への投資」に振り向けたい。中長期的には、行政部門が担える「公共サービス」分野は限られてくる。つまり、「公共サービス」を行政部門と、市民セクター、それに事業者が分担し協力しながら担う、そういう「新しい公共空間」を創造していくことが必須の課題だという点である。建前としては既に総合計画などに謳われている「パートナーシップ」を、現実のもとして確立しなければ、地域社会の荒廃を防ぐことはできない。本当に地域の住民の力がついたところは、小さい財政力を何倍にも生かすことができる。

 地域の力、すなわち住民の事故統治能力はすぐにはつかない。地域の力をつけるためには、それ相応の投資が必要だ。

まず、地域に人を配置するという、人的な投資が必要である。例えば「地域自治組織」として想定される地域に、地域担当職員、ソーシャルワーカーを置きたい。事業費とともに、人件費を使うのである。さらに、拠点をつくりたい。既存の学校施設や農協の支所の跡地であってもよい。そして、資金的な投資である。これは住民の出資も含めてだが、活動資金や拠点施設建設の予算化であってもよい。

 いずれにしても、「人、拠点(モノ)、資金そして情報」を地域に投入し、共に公共サービスを担う「地域住民の力」をこれから7カ年ほどで形成できるかどうかが自治体のこれからを左右するはずである。そのために、前出の「財政改革の推進プラン」などが組み直されるように希望したい。

(奈良女子大学 澤井 勝)

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