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財政見通しと歳入確保策

(初出:ぎょうせい「地方財務」 2003年9月号)


    はじめに
    1 財政見通しと税収見積もりの課題
    2 グローバルで構造的なデフレの影響
    3 地方交付税の総額の縮小
    4 歳入確保策の検討

はじめに

 来年度の地方自治体の予算編成の時期を前にして、いくつかの問題を考えてみたい。歳出構造の転換については、事務事業評価の取り組みの一巡と、その予算編成・予算要求とのリンク、予算編成そのもののあり方をかえる枠配分方式の浸透等、既に重要な政策課題が指摘、提案され、一部実行に移されている。しかし、他方で、歳入については従来の「財政見通し」の考え方以外には、考え方の転換を求める動きが少ない。当然といえば当然である。地方自治体の歳入は、経済の関数であって、経済動向にしたがって変化する従属変数であるという性格を基本として持っているからである。

また地方税制度や地方交付税制度という制度に強く規定され、地方自治体の工夫の余地はそれだけ狭い。したがって政策的な選択肢はごく限られている。このような理由で、政策論としての歳入確保策を展開するのはなかなか難しいのである。

 しかし、この数年の日本経済とそれを取り巻く世界経済の動きは、従来のような財政見通しの見直しを要求している。また、政策的に注目すべき歳入確保の動きもいろいろ出てきている。例えば、「自主課税」、例えば「ミニ公募債」、また「滞納整理」、あるいは「無体財産権」の確保など。ここでは、まず、財政見通しを取り巻く諸条件をあらためて検討した上で、次いで新しい歳入確保策のいくつかについて考え方を整理しておきたい。

 

1、財政見通しと税収見積もりの課題

 地方自治体の歳入見通しを考えるとき、基本になるのは「地方税収」の見積もりである。それに地方交付税の見通しあるいはその変動要因の観測である。つまり、「経常一般財源」の見通しがまずたてられなければならない。その中でも、「地方税収」」の見積もりが中心である。この税収見積もりは、次のようないくつかの条件を考慮して立てられるのが普通であろう。

 (1)、これまでの調定実績と徴収実績を基礎にする。直近の02年度決算見込みおよび5年ほどの実績値を利用したい。これをもとに税目ごとの歳入見込みを延長して推計する。ところが、ここ数年、税調定額の伸び率がマイナスとなっている自治体が多く、そのまま伸び率を延長することにならない。この場合は、企業の活動状況や、個人所得の全国的な動きを見ながら個別の積み上げによって推計することになる。

 (2)、住民税所得割などは政府経済見通しによる名目経済成長率と税目ごとの租税弾性値(経済成長が10%伸びたとき税収が12%伸びたとしたら、10分の12で、租税弾性値は1.2である)。これも、経済活動の変化や税制改革の影響などもあってトレンドとして掴むのは困難になっている。

 特に若年層の個人所得は、フリーターなど働き方の多様化によってその動向を把握することがますます難しくなっている。

 (3)、法人事業税や住民税法人税割なども租税弾性値が基礎だが、赤字法人の比率や大企業法人の売り上げなど企業の動向に左右される。また、今年度からの「投資減税」や「研究開発減税なども法人税を課税標準とする都道府県税や市町村税には大きな影響を与える。ちなみに、今年度の法人税関係の減税は、政府の当初予算で「研究開発減税」および「設備投資減税」によって1兆740億円。その他で1兆3040円となっている。

 (4)、固定資産税は、基本的には前回の固定資産の評価替えにおける評価額の伸び率に規定される。なお、この固定資産については、その把握の程度が問題になる。特に改築や増築をフォローしているかどうか。この増改築を的確に把握しないと、課税の公平性に問題を残す。

 この固定資産税も、縮小しつつある。これは地価そのものの下落が続いていることにその基礎がある。国土交通省が今年の3月末に公表した02年の公示地価は、12年連続して下落し、下落幅も拡大している。東京,名古屋、大阪の三大都市圏では91年のピーク時に比較して55.2%下落している。もっとも東京圏は一部横ばいの状況である。

 このため、国の予算でも02年度の国有地の売却が予算割れをしている。売却の入札件数を4割増やしたにもかかわらず、2977億円と予算額を約200億円下回った。

 8月1日に国税庁が発表した03年1月1日現在の相続税や贈与税の算定基準となる路線価も、11年連続で下落している。ここでも、東京圏の下げ止まりに対して地方圏の下落率が大きくなるなど、2極化が進んでいる。

 固定資産税の算定基礎となる土地評価額は、02年度の場合、宅地の平均で前年度を5.0%下回り、3年ごとの見直しの特例として,修正を行っている。03年度の場合、前回の見直し時期の00年度の比較して,全国平均の基準宅地で31%という大幅な下落率となっている。

 (5)、納税義務者数の伸びないし縮小。この納税義務者数は、企業のリストラの進行によって地域によってはかなりの減少となっている。再就職できた場合でも正規雇用から、パートや派遣社員というより不安定で低収入の職に移動する場合が多い。この結果、現金給与の低下現象が広がっている。本年4月の現金給与は、厚生労働省の毎月勤労統計によると、従業員5人以上の企業で、月間平均給与が28万5537円となり、前年同月比0.6%マイナス、所定内給与はパート社員の増加などで0.7%の減少となった。

 (6)、以上のような地方税収入の見通しは、既に地方財政計画に反映している。地方財政計画における地方税収入の見込みは、01年度の35兆5810億円をピークに減少している。

02年度は、都道府県税14兆5544億円(対前年度6.5%減)、市町村税19兆7019億円(1.6%減)、合計では34兆2463億円と3.7%のマイナス計画であった。

 03年度では、都道府県税13兆4229億円(7.7%減)、市町村税18兆7836億円(4.9%減)で合計32兆1725億円となり6.1%減となった。01年度に比較して3兆4085億円の大幅な減少で、減少率はマイナス10%弱である。

 (7)、明るい材料もある。それは、このリストラの浸透によって、企業収益のV字型回復が明確になってきたことである。日本経済新聞社が9月6日時点で集計したところによると、上場企業1628社の04年3月期の業績見通しでは、連結経常利益は前期比16.7%の増加となっている。増益は2期連続。売上高はデフレの影響で0.9%の増加にとどまるが、これまでに実施した人件費の削減を中心とした固定費の圧縮効果が出てきている。この結果、経常益は18兆6453億円と過去最高になる見通しとなっている。

 これが、地域の非上場企業の業績にも反映すると法人所得の拡大による法人関係税の増加が見込まれる。また、この企業経常益の市場最高水準への回復が投資家心理を改善して、株式相場のある程度の上昇とその安定という状況も期待できる。

 (8)、経済動向もやや明るさを取り戻しつつある。日本経済が依存する程度が高いアメリカ経済は、8月29日にこの4-6月期の実質のGDP成長率が1-3月期に比較して3.1%増加したことが確認された(年率換算、季節調整済み)。一方でデフレ懸念が強い。このため米連邦準備理事会(FRB)は、6月26日に短期金利の指標であるフェエラルファンドの金利を0.25%引き下げ1%とした。これは1958年以来45年ぶりの低金利である。この7月の米失業率は前月比0.2ポイント改善して6.2%となったが、依然として高い水準である。他方で6月の個人消費は0.3%の増加と4ヶ月連続してプラスとなっている。

 (9)、内閣府が8月12日に発表した4-6月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除く実質で1-3月期に比べ0.6%の増加となった。年率に換算すると2.3%という、「高成長」である。これで6期連続のプラス成長となる。個人消費が底堅く、企業の設備投資も回復基調と言ってよい。ただし、総合的な物価指数をしめすGDPデフレーターは、前年同期比2.1%の下落で21期連続してマイナスを記録している。もっともマイナス幅は前年比1.4ポイント縮小してはいる。

 

2、グローバルで構造的なデフレの影響

 日本の消費者物価は、総務省統計局によると03年7月まで1999年10月をピークに、3年10ヶ月連続して下落しつづけている。全国の生鮮食料品を除く総合指数は、2000年を100として、今年の7月期で98.0となっている。前月比0.2%低下。これはピーク時(97年)から見ると、2.3%の下落率となる。前年同月比でも0.2%の下落である。なお、対前月比の0.2%の下落は、被服・履物,食料の下落がその要因である。また、日本銀行によると国内企業物価指数(卸売り物価指数を変更)の全産業平均は、2000年1月の今回の景気循環におけるピーク時の100.6から、この7月期では95.0と5.6ポイント下落している。

一方で、アメリカの連邦準備理事会(FRB)は、03年5月6日の委員会で、当面の政策運営の方針を景気下降リスクを重視する「景気配慮型」に変更している。この背景には、アメリカ経済も「デフレ一歩手前」という厳しい認識がある。既にモノの値段は、01年10月以降16ヶ月続いて前月を下回っている。

国際通貨基金(IMF)の基準だと、マイナスのインフレ率が2年以上続くことをデフレとしている。つまり対前月比で物価上昇がマイナスという状態が24ヶ月以上になれば、IMF基準でもデフレと認定される。アメリカのモノの消費者物価は、その前夜ということになる。ただし、サービスの価格はなお1.7%の対前年比上昇している。これは、教育費と医療費の上昇のためである。

 また、中国でも2001年4月から物価上昇率がマイナスとなり、今年の2月までは物価下落状態、デフレ状態であった。この状態は石油価格の上昇などから下げ止まったとされている。SARSの影響もあったが、どうにか生産がもとにもどりつつある。

 長期的に見た素材、資源価格の下落は、日経42種商品指数で見ると2度のオイル・ショックとバブル経済によって価格の上昇が見られたが、その後低下するということを繰り返し、99年には、82年基準のほぼ半値となっている(橋本寿朗『デフレの進行をどう読むか』岩波書店、2002年3月)。これにおそらく90年のベルリンの壁崩壊と社会主義経済圏の資本主義市場への包摂という条件が重なり、さらに、デジタル革命の波がかぶさる。(なお、榊原英資『構造デフレの世紀』中央公論新社、03年4月、および金子勝『長期停滞』ちくま新書、02年8月、なども参照のこと。)

 このような、世界的な、特に日本におけるデフレーションがなぜ生じているか、という問題についてはまだ十分に解明されているわけではない。したがって、デフレ克服の政策も迷走せざるをえない。

 この点は、日本経済新聞社のシリーズ「デフレが蝕む」がタイミングよく記事としていたが、特に最終回5月27日の座談会が,包括的に問題を取り上げていて参考になる。要約すれば以下のようになる。

 香西泰内閣府経済社会研究所長「供給面での物価引下げ圧力が大きい。世界的な技術革新、IT革命、安い(優秀な)労働力の大量参入がそれだ。」

 北条格太郎経済同友会代表幹事(日本IBM会長)「それに、地価や株式などの資産デフレの様相と行政の非効率などの日本独自の事情が加わっている。」

 ロバート・フェルドマン、モルガン・スタンレー証券主席エコノミスト「賃金が物価以上に下落する賃金デフレが問題。それが個人の消費需要をしぼませている。」

そうだとすれば、この長期デフレにどう付き合うか、そしてそれを激烈なものとしないための政策的な選択肢を急いで用意すべきである。特に地方自治体にとっては、地方債や債務負担、債務保証など今までに背負い込んだ債務の重圧が大きくなる一方、税収は名目的な物価下落という要因だけからも減少するというダブルのボディーブローを受けている。

その必要とされる地方自治体の政策選択とは、突き詰めると雇用の確保政策に他ならない。それも従来の公共事業型ではない、福祉サービスなどソフトな事業における雇用であり、あるいは循環型社会をつくる雇用である。それは国の政策だと冷淡であることは許されない。1930年代の世界不況に立ち向かったケインズの『一般理論』は、『雇用・利子・貨幣の一般理論』であることを想起すべきである。

 

3、地方交付税の総額の縮小

 以上の地方税収をめぐる状況と共に、経済財政諮問会議における合意によって、地方交付税の総額は地方財政計画の見直しを通じて縮小することとなっている。この地方交付税の総額の縮小は、01年度地方財政対策での地方交付税特別会計の借入金の原則廃止という合意によって、既に進められている。(他方で同年度から赤字地方債である臨時財政対策債が急増している)。

 03年度地方財政計画では、交付税特別会計の出口ベースの地方交付税総額は、18兆693億円(入り口ベースで16兆3926億円)であり、これで地方交付税総額は00年度以降、3年連続で減少した。03年度は前年度に比較して7.5%減である。これは00年度の21兆4107億円から見れば、3兆3414億円、15.6%の減少となっている。

 この地方交付税総額の縮小がどこまで、そしてどの水準まで進められるかは、なお毎年度の国の予算編成時の最大のイッシュウである。

 この過程では、政府の経済財政諮問会議による「三位一体の改革」の行方に強く規定されることも確実である。地方交付税の増額の減少の他、主たる内容は、「改革と展望」の期間中に(すなわち02年度から06年度、平成18年度の期間中に)、国庫補助金を4兆円をメドに廃止,縮減するとともに、計画上の人員を4万人以上純減する。単独の投資的経費は平成2〜3年度の水準に抑制する。税源移譲は、国庫補助事業で補助金廃止後も引き続き地方が責任を持って実施すべき事業については、その財源として8割程度を目安とし、義務的な事業については全額を移譲する。その際、基幹税の充実を基本とするなどとなっている。(以上は6月27日の閣議決定である。)

 

4、歳入確保策の検討

以上のように、財政見通しとすれば、中長期的にはなお経常一般財源(地方税と地方交付税)の縮小傾向が続くと見ておく必要がある。これは歳出面での人口減少時代への一般的な移行とパラレルに進行すると思われる。財政担当者の苦戦は続く。基本的には、政府税調などでも検討されている、全体的な税制改革による租税負担率の調整,具体的にはその引き上げと社会保障財源および地方財源の確保が求められているといってよい。

しかしながら、現在の制度のもとでも、検討し実施すべき歳入確保策はある。既に、歳入確保策として取り上げられ、実施されているものを含めて列挙してみたい。

(1)課税自主権の活用による歳入確保策  自主課税には、法定外目的税や法定外普通税のように新税を起すタイプがひとつ。もうひとつは、既存税の税率を引き上げるというかたちである。

 この自主課税の取り組みでは、今年度からの高知県の森林環境税の導入が注目された。これは個人と法人の県民税均等割部分に一律年間500円を上乗せするかたちで課税する。この財源は森林保全基金に積み立て、間伐等の森林保全事業の財源とする。一年間に約1億4千万円を予定する。この特色は、住民それぞれが新しい森林保全事業の財源を税として負担するところにある。「よそもの課税」になりやすい自主課税のあり方に一石を投じたものと言える。

(2)ミニ公募債による資金調達 これは群馬県の愛県債などから始まった資金調達方式だが、この春には、町村として初めて鳥取県の西伯町が、建設中の特別養護老人ホームやデイサービスの資金として発行した。4年満期、年0.3%、券面は10万円と100万円、町内在住の個人を引き受け手とする。このミニ公募債は、行政への市民参画という点からも重要だと考えられる。

(3)滞納処分の徹底による増収策  特に取り組みとして大規模なのは02年度からの茨城県の租税管理機構の設置とその運用実績である。その他、東京都の職員の意識改革や宮崎市の出張徴収などが注目されている。この滞納整理は、歳入確保策の基幹部分であるが、それとともに、税の信頼性、税の公平性を確保し、正直に納税している住民の権利を守るという点からも極めて重要である。

(4)財産の活用と処分  この中には、北九州市のような活用策もあるが、例えば無体財産権の取得、すなわち特許料の確保という手法もある。長野県のある市の事例では、道路課の職員の発案から、土地測量の測量杭に金属板を埋め込み、磁石によって探索できる技術を開発し、特許をとったことがあった。地方自治体の現場では、これからますますそのような技術的工夫を財産権として取得することも求められる。

(5)手数料や使用料の負担適正化 手数料や使用料は一度改定すると、長期にわたってそれが固定される場合が少なくない。この負担適正化は、普段に追求される必要がある。

(6)PFIの活用  この9月で,PFIの制度が導入されて4年がたつ。国と地方自体で事業数は111件に達し、契約金額は4000億円を超える事業に成長しつつある。02年9月に完成した千葉市の消費生活センター・計量検査所の複合施設は、当初の事業費は29億円を見込んだが,実際には市の負担は半額以下の13億6000万円におちついた。このような民間資金とそのコストダウンの方式の活用はもっと展開されてよい。

(7)中長期的な税源涵養策

 イ、地方自治体の雇用政策の展開による納税者の育成

 04年の3月には、職安法改正案が施行され、地方自治体にも無料職業紹介事業が解禁される。これを受けて、都道府県も市町村も、国の機関であるハローワークや、民間の職業紹介事業者と協力しながら、具体的に、かつ地域で、雇用のミスマッチを解消するコーディネート事業に乗り出すことをすすめたい。その際、その政策は、自治体としての特色を生かした、福祉政策や産業政策、企業誘致政策、さらに若者定住政策などと統合された、総合的な産業雇用政策として組み立てられるべきであろう。

 この分野に先行投資をすることによって、将来的には、雇用者数の拡大と税収の拡大というかたちでリカバリーを期待したい。

 ロ、地域通貨、NPO、コミュニティ・ビジネス

 また、雇用する、されるという働き方にこだわらない、起業する、あるいはワーカーズコレクティブ的な働き方、あるいはコミュニティ・ビジネスを開拓する人々を応援する施策に先行投資をしたい。そして地域通貨という貨幣経済そのものへのチャレンジを支援することも求められる。それが地域の活力を作り出し、有形無形の冨を生み出す。日銀の福井俊彦総裁も地域通貨が増えていることに対して「新しい価値を生み出し、地域社会の発展につながる」と歓迎している(7月17日日本経済新聞)。

 

おわりに

 地方自治体の財政の歳入見込みには、厳しいものがあり、地方財政全体が大きな転換の時代に入っている。それはバブル経済とその崩壊以後、引き続く地域経済と都市経済の低成長あるいはゼロ成長への、各自治体の調整過程だともいえる。この転換は、基本的には高度経済成長あるいはインフレーション経済から、構造的・中長期的なデフレ経済あるいはディスインフレ経済への世界的な移行に伴うものである。(もちろん、人民元の切り上げや円の暴落などによる中期的なインフレ局面もありうるわけだが。)

 この転換はいくつかの側面を持っている。第一には、繰り返しになるが地方交付税制度の見直し(財源保障機能の制限ないし廃絶)が、地方分権に沿って、自己責任・自己決定の仕組みの一環として、受益と負担の関係の明確化という論理の延長上に,進行している。

 第二には、最も基礎的な経済過程としては、ゆるやかだがグローバルで構造的なデフレーションの世紀に入ったという可能性が高い。従って、税制度の抜本的な改革がない限り、国税も地方税も税収は緩慢な下降を続けると見ておく方がよいのではないか。。

 そして第三には、戦後の地域経済を支えてきた公共事業が、財政制約から抑制され、同時に環境問題から制約されて、半減する可能性が強い。同時にこれは、「地域のことは地域の住民が直接決める」という地域主義の流れによって促進されている。

 第四には、したがって圧縮される一般財源のもとで、臨時財政対策債などの借金によって歳出規模を維持することは早晩不可能になることも考えられる。すなわち歳出の根本的な構造転換が求められている。住民、市民とのパートナーシップによって、新しい公共空間を作り出さない限り、地域住民の公共サービスへのニーズを賄うことはできなくなる。この転換に失敗すると、その地域自治体は荒廃することは避けられないだろう。

 第五に、したがって現在の行政サービスを洗いなおす事務業評価と、政策のシビアな選択をするための政策評価システムが組織に確実の組み込まれる必要がある。そのことによって、デフレ経済に対応し、その行政需要あるいは公共サービスのニーズに応答できる地方政府が求められている。

 このように長期的な財政構造の転換が進むなかで、個々の歳入確保策を積み重ねなければならない。そしてその貴重な追加的財源を、地域の活力を引き出し、行政と市民と事業者がともに地域を統治するガバナンスの時代への投資財源として、最大限に生かすことが求められている。それに努力するかどうかで地域の将来も大きく左右されるにちがいない。