TOPPAGE総合計画、雇用労働政策>生活困窮者自立支援施行状況
                 奈良はワースト2、
     生活困窮者へのまなざし


                     『自治研なら』2015年10月 第114号
                     奈良県地方自治研究センター理事長   澤井勝

 今年、2015年の4月に、生活困窮者自立支援法が施行された。この生活困窮者自立支援事業については、本誌の111号(14年6月)と、112号(14年11月、秋田県藤崎町社協)でも、紹介してきた。その施行状況を奈良県内の各都市のホームページなどから見てみた。
 各自治体の取り組みを見るときのポイントは、法的義務とされた「生活困窮者生活相談事業」の設置状況と、その事業主体である。また任意事業とされている「就労準備支援事業」「家計相談事業」「一時生活支援事業」、そして貧困の連鎖を断ち来ることを期待した「子ども学習支援事業」の実施状況である。義務的事業の「生活相談」は立ち上げたふりをするにしても、実際の相談者が来た時に、その人への支援サービスをきちんと用意できているかが問題だ。たんなるたらい回しに終わるとすれば、行政への不信感はさらに深まる。また相談を受ける現場も、相談者との板挟みで疲れ切るに違いない。
 まず奈良市だが、「生活困窮者自立促進モデル事業」(国補助10割)を13年8月から受託してきたのに引き続き、15年4月からは法の施行に伴い、市庁舎中央棟2階に「くらし仕事支援室」を設置した。ここで「自立相談支援事業」を行う「くらしとしごとサポートセンター」を開設するとともに、民間のビルに研修室を設けて「就労準備支援事業」を行う。これらは人材派遣会社の「パソナ」に委託して行う。
 大和郡山市の場合は、「自立支援相談窓口」を保健福祉部総務課に設置している。ここでは、「相談支援員と就労支援員が一緒に課題を整理しながらプランを立て、自立に向けた解決策を図る」としている。任意事業のうち、「家計相談事業」と「子供の学習支援事業」を行う。橿原市、生駒市(社協委託)、大和高田市、桜井市、五條市、御所市、宇陀市、葛城市、香芝市(社協委託)、十津川村では任意事業については当面実施しない姿勢のようだ。天理市はハローワークと共同で、「天理市しごと支援センター」を市役所内にこの10月に設けるとしている。対象は、若者、子育て女性と生活困窮者としているので、ここで実質的な就労支援が可能かもしれない。(なお見落としがあるかもしれないが、その際はご容赦。)
 このように、奈良県内の自治体は、任意事業にきわめて消極的に見える。9月14日に行われた厚労省の全国担当者会議の資料によると、任意事業を一つも行わない自治体は86%。これは全国ワースト2である。茨城県の91%、愛媛県の83%と並ぶ。お隣の京都府と滋賀県はすべての自治体がなんらかの任意事業を行っているのでゼロ%。大阪府は何もしていないのは3%だけ。兵庫県では37%、和歌山県で60%。奈良県自治体のこの事業への消極性は、将来の地域社会への影響を考えると心配である。
 
 
 
 
 

 

 

 

Copyright© 2001-2003 Masaru Sawai All Rights Reserved..