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                 神戸市の雇用・就労政策
              その可能性

                                   2,015820日 

神戸市役所1号館26階委員会室

奈良女子大学名誉教授 澤井勝

 

1、雇用・就労政策の意味

「雇用政策」とは、いわゆる一般就労への道をどう保障するかという意味が強い。ハローワークを経由して、「正規雇用」あるいは「常用雇用」の場を作るというニュアンスの場合が多い。それに対して、「就労支援施策」「就労支援事業」などは、もっと幅広く、パートやアルバイトなど非正規雇用やボランティアなどへの誘導を含む支援事業などが広がっている。このうち雇用とは言えないが、就労準備のための訓練としてのボランティアや職場体験、インターンシップなどを「中間的就労」と呼ぶことがある。

また障害者福祉の領域では、非雇用的な障害者福祉サービスとしての「就労継続支援B型事業」や「就労継続支援A型事業」のほか、一般就労につなぐ「就労移行支援事業」などが実施されている。

さらに生活保護受給者やその受給申請者に、あるいは母子家庭の母親で児童扶養手当を受けている人に就労支援を通じた自立支援をおこなう、「福祉から就労へ」事業があり、生活保護施策の一環として取り組まれている就労支援事業も大きい役割を担っている。

広い意味での雇用労働政策としては、1979年に津山市と14町村が始めた「津山広域圏雇用労働センター」事業のように、企業と求職者をつなぐマッチングを主体とする事業が地方自治体にとっては取り組みやすいのかもしれない。また1994年ごろから始まった川崎市が取り組む中小企業への支援策(いわゆる「川崎モデル」)が大きな柱になりうる。

 

 

2、自治体の雇用・就労政策の法的根拠

(1)  雇用対策法(2000年)第5条 「地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない。」なお第31条に「国と地方公共団体の連携」の規定が置かれている。

 

(2)  なお、この2000年は、他方で地方分権改革によって、雇用労働政策が国に一元化され、各都道府県に国の機関として、「地方労働局」が置かれた。その中心は、職業安定所である。これ以前は、職安の事務は「地方事務官」が担っていたが、これが国家公務員に身分変更となった。

 

 

(3)  2003年に職安法が改正され、地方公共団体は、次の場合に、届け出によって「無料職業紹介事業」を行うことができる権限を付与された。

職安法第33条の4 「地方公共団体は、当該地方公共団体の区域内における福祉サービスの利用者の支援に関する施策、企業の立地の促進を図るための施策その他当該区域内の住民の福祉の増進、産業経済の発展等に資する施策に関する業務に付帯する業務として無料の職業紹介事業を行う必要があると認めるときは、厚生労働大臣に届け出て、当該無料の職業紹介事業を行うことができる。」

 2013(平成25)年度の「職業紹介事業報告」集計では、地方公共団体の無料職業紹介所の数は373事業所で、前年度比5.1%増となっている。

 

(4)  生活保護法第1条 「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること目的とする。」

 2005年から始まった「自立支援プログラム」策定の動きによって、就労による経済的自立を目指す「就労自立支援」のみならず、被受給者が地域社会の一員として自立した生活を営むことができるような「日常生活自立」や「社会生活自立」の観点からのメニューを整備することが求められた。「釧路の三角形」へ。

 

(5)  2012(平成24)年6月、「障害者総合支援法」(障害者自立支援法改正)が成立。身体、知的、精神にまたがって「就労継続支援B型事業」などが位置付けられる。

 

(6)  2013(平成25)年5月、「生活困窮者自立支援法」成立。20154月施行。自立相談支援事業と住宅確保給付金事業は福祉事務所設置自治体は必須。就労準備支援事業、就労訓練事業(中間的就労事業)、一時生活支援事業、家計相談事業、学習支援事業は任意事業。

 神戸市はこの事業のうち、自立相談支援事業は各区役所で行っている。あとは公募による受託事業者選定で、「NPO法人こうべユースネット」が就労支援事業などを受託している。「神戸市若年者就業支援事業」(神戸若者サポートステーション)、神戸市就労相談窓口事業」(神戸市青少年会館)、「神戸市臨床心理士サポート事業」(神戸市内福祉事務所)、「神戸市就労準備支援事業」(神戸市内)。

就労訓練事業、一時生活支援事業、家計相談事業、学習支援事業などは不明。

――これら事業の実績について明確にする必要がある。指定管理者や受託事業者の業績評価はどうなっている?

 

3、安定所と安定所以外の職業紹介事業の利用状況(総務省行政評価監視業務の勧告)

 厚生労働省の平成21年度雇用動向調査によると、入職経路で最も多いのは、広告の利用で31.6%。縁故の26.8%、安定所利用が22.2%。その他(商工会議所、地方公共団体の広報、地方公共団体の職業紹介など)が12.5%。民間職業紹介所利用が2.1%となっている。中小零細企業ほど安定所利用が多い傾向。

 

 

4、神戸市の取組の事例(ホームページから)

(1)福祉事務所におけるハローワーク業務の一体的実施について

平成2521日から3年間

垂水区「ワークサポートたるみ」 福祉事務所内にハローワークの職業相談・職業紹介を行う専用の相談窓口を設置する。

――この事業実績についての報告はどうなっている?

(2) 被保護世帯向け学習支援事業(委託事業)

 2014210日付け。本市においては、被保護世帯の自立を促進し貧困の連鎖を防止することを目的として、中学生を対象とした学習支援を実施しています。平成26年度からは対象を小学4年生まで拡大し、灘区役所・北須磨支所にて実施します。また新しい取組として、夏季および冬季休業期間に中学生を対象とした短期集中型の学習支援を中央区・北区にて実施します。

 委託先 通年型 NPO法人ブレーンヒューマニティー

     短期集中型 NPO法人こうべユースネット

―― これら事業の事業実績の報告と評価は?

 

(3)2015320日付。平成274月より実施される生活困窮者自立支援法において実施する事業のうち次の事業の事業者を公募によって決定。

「就労準備支援事業」 社会福祉法人すいせい 垂水区御霊町

           社会福祉法人ヨハネ会 須磨区奥山畑町

           NPO法人こうべユースネット

「一時生活支援事業」 NPO法人神戸の冬を支える会 中央区山手通

「学習支援事業」(通年型) 

北区・北須磨支所 NPO法人こうべユースネット

       灘区・兵庫区・垂水区 NPO法人ブレーンヒューマニティ 西宮市

    「学習支援事業」(短期集中型)

       中央区・西区 NPO法人こうべユースネット

       東灘区・長田区・須磨区 NPO法人ブレーンヒューマニティ

    「臨床心理士サポート事業」 NPO法人こうべユースネット

 

5、他団体の取組 各ホームページから

・尼崎市 あまジョブステーション

・豊中市 雇用労働課

・堺市  堺市被保護者キャリアサポート事業

・志木市 ジョブスポット志木運営協議会

・大阪市 大阪市東淀川区生活困窮者自立支援モデル事業相談事例集

・津山市 津山圏域雇用労働センター

・川崎市 川崎モデル

・釧路市自立支援プログラムの取組状況

など。

 

メール添付資料3点 これらを印刷して、このレジュメと一緒に、各議員さんに配布してください。

1、「ハローワークと自治体の連携」(ワード文書)

2、「生活困窮者自立支援法について」(PDF)

3、「ジョブスポットしき」(PDF)

 

 

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