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ハローワークと自治体の連携

                          (初出:『都市問題』2014年7月号)
                       奈良女子大学名誉教授  澤井 勝

はじめに 雇用労働行政は国の仕事?
 経済のグローバル化と同時に、国政でも新自由主義的傾向が強まり、労働に対する規制緩和の性急な検討と過剰な自己責任論が広がる。非正規労働者の割合が35%を超えるところに端的に示される格差社会が新しい段階に入ろうとしている。
 これとは別に、生産年齢人口(15歳から64歳)の減少から始まった日本の総人口減少は、2010年ごろに現実のものとなった。人口減少が本格的になるなかで、少子・高齢社会と縮小経済に向き合うという課題に立ち向かわなければならない。このことはすでに2010年から、藻谷浩介氏が『デフレの正体―経済は「人口の波」で動く』(角川oneテーマ21)で指摘してきたことだ。これに中央公論2013年12月号の増田寛也氏などの「地方消滅、極点社会の到来」という議論、14年4月の個別自治体の人口推計に基づく「2040年には896自治体で若年女性半減」というニュースが、さらに波紋を広げている。
 これらの一連の現象に対峙する自治体の施策は多々あろうが、その中心の一つは、それぞれの地域での「雇用と就労・就業の場の確保」に向けた施策を確立するところにあると思われる。つまり「雇用労働政策の展開」が求められているのだ。ただ、このこと(雇用労働政策の確立)が地方自治体からは見えにくいのは事実であろう。これに先立つバブル崩壊時代(1992年以降)、「地域活性化」や「町おこし」のための施策としては、企業の固定資産税などの減税と工場団地の造成などによる企業誘致、公共事業による雇用と就業機会の創出など限られた施策しか準備できなかったともいえる。
 それは、1990年代までは雇用労働政策の権限が一般には市町村にはなく、一部の自治体以外には、雇用労働政策は国の施策という意識が強く刷り込まれていたことが一因となっている。もちろん都道府県には労政事務所があり、労働相談機能を持つとともに、都道府県の公共職業安定所(職安)があった。しかしこの都道府県の公共職業安定所は、その職員は地方事務官(国家公務員)という変則的な地位にあった。このため2000年の地方分権改革にともない地方事務官制度は廃止され、公共職業安定所は国の各都道府県地方労働局に統合された。
 この地方分権改革は、地方自治体の長に対する国の機関委任事務制度を廃止し、従来の機関委任事務は基本的には自治事務に転換するとした画期的な改革であったが、一方ではこのように地方事務官制度を廃止して雇用労働政策の権限を国(厚生労働大臣と地方労働局)に一元化するものでもあった。雇用政策の中心である職業紹介事業は、改めて国の事務として位置付けられて今日に至っている。
 その際、国の機関委任事務としての性格が、「市町村の処理する事務」を「法定受託事務」とする規定として残存することとなった。これが、無料職業紹介事業など雇用行政を国の事務として地方自治体に改めて観念させることを助けたとも考えられる。
 同法第11条は「公共職業安定所との交通が不便であるため当該公共職業安定所に直接求人又は求職を申し込むことが困難であると認められる地域として厚生労働大臣が指定する地域を管轄する市町村長は、次に掲げる事務を行う」として、1、指定地域内の事業所からの求人の申し込みと求職者からの求職の申し込みを公共職業安定所に取り次ぐこと。2、職安からの照会に応じて求人者や求職者の調査を行うこと。3、職安からの情報を求人者、求職者に周知させること、と定める。これは機関委任事務の時代と同じ文言である。同条第2項では、職安の所長は指定地域内の市町村長にこれら事務を指示することができるとも規定する。

雇用労働行政の地方自治体での新たな展開
 なおこのとき、2000年に雇用対策法の改正で、地方自治体にも雇用労働政策の実施について。努力義務が課せられることになった。すなわち雇用対策法第5条は、(地方公共団体の施策)として、「地方公共団体は国の雇用施策と相俟って、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるよう努めなければならない」と定めている。これによって、2000年改革で国に集権化された雇用労働施策は、その一部が地方自治体の権限として再度位置付けられることとなった。
 その後、2003年に、地方自治体では一定の条件の下ではあるが、無料の職業紹介事業を行うことが、厚生労働省への届け出で可能になっている。すなわち、職安法第33条の4では、「地方公共団体は、当該地方公共団体の区域内における福祉サービスの利用者の支援に関する施策、企業の立地の促進を図るための施策その他当該区域内の住民の福祉の増進、産業経済の発展等に資する施策に関する業務に附帯する業務として無料の職業紹介事業を行う必要があると認めるときは、厚生労働大臣に届け出て、当該無料の職業紹介事業を行うことができる。」としている。
 この時点で都道府県も市町村も雇用労働政策の権限が付与されたのだが、多くの自治体ではこれに着目することは少なかった。この事情は今も変わらない。政令指定都市でも「二重行政論」を援用して、雇用労働行政にきちんと向き合わない傾向が見られた。現在の財政状況や職員数の削減という事情を考えればわからないことではないが、都市の住民のニーズに十分にこたえているとは言いにくい状況である。
 それでも、地方自治体で無料職業紹介事業を実施しているのは、2011年度まで増加傾向にあり、165自治体、事業所数384か所が届出をしている。内容は、Iターン、Uターン者等の定住支援、若者就職支援、農業大学校卒業生の就職支援、障害者の就職支援などである。

ハローワークと福祉事務所との連携 「福祉から就労」へ
 もっともこの状況は、この数年変化しつつある。その変化をけん引しているのが生活保護施策での就労支援と障害者への就労支援施策の分野での取り組みである。さらに、2015年4月施行の生活困窮者自立支援法が福祉事務所設置自治体に、生活困窮者自立相談センターの設置を義務付けたことが新しい動きである。
 
 こうした動きのきっかけのひとつは、2000年代に入ってからの生活保護受給者の急増である。この背景には、終身雇用制度の崩壊や成果主義の導入、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレイニング)など企業内教育システムの衰退などと、2004年に行われた製造業への派遣労働の拡大や、パート、アルバイトなど非正規労働者の増大がある。
 この生活保護受給者の増大に対する施策として、生活保護費の削減を目指して取り組まれたのが、2005年7月から始まった「ハローワークとの連携事業」としての「福祉から就労へ」のモデル事業である。この事業は、生活保護を申請しようとする人々のうち、働くことができ、働く意欲がある人たちを就労できるよう支援する事業で、2006年度ごろから明確になってきたようである。
 厚生労働省職業安定局雇用開発課就労支援室の資料では、「雇用と福祉の連携」として2006年度を準備期間として2007年度から2011年度の5年計画が示されている。中心は「ハローワークと福祉事務所の連携」である。まず福祉事務所(2013年段階では各都道府県とすべての市、43の町村に設置)が「自立意欲のある生活保護受給者と児童扶養手当受給者(母子家庭の母)」を選定し、関係のハローワークに就労支援を要請する。支援対象者の面接相談は、福祉事務所のコーディネーター(多くの場合は生保担当ケースワーカーまたは就労支援員)とハローワークの担当コーディネーターが複数で担当することが想定されていた。相談の場所は、福祉事務所かハローワークが考えられていた。
 これに先立って2005年ごろから、産業カウンセラーへの委託事業としてキャリア・コンサルティングが始まっている。例えば、ある産業カウンセラーは大阪市の委託によって、生活保護受給者へのキャリア・コンサルティングを行っている。このコンサルティングは、週一回の面接で、「面接での受け答え方」といったテクニックだけではなく、相談者のメンタルな面を傾聴により支え、援助することによって、本人の自己肯定感や自己責任感の喚起を援助する、としている。2005年の6月から2007年の9月までの28か月で、1487人のうち706人が就職するという実績を上げている(日本産業カウンセラー協会専務理事原康長の報道関係者への談話http://www.counselor.or.jp/press/pdf/080327danwa.pdf、 2014年5月15日閲覧)。
 このコンサルティング事業に取り組んだカウンセラーからは、その後の事業展開につながる指摘も残されている。「行政の就労支援事業を請け負う民間企業の中には。"意欲のある人たちのみ対象とする"というところもありますが、"意欲を喚起する"という部分への援助なしに、実質的な就労支援はできません。カウンセリングの手法で。『その人にとっての真実』を丁寧に引き出しながら、相談者の無力感を軽減し、自立する意欲と自己肯定感の喚起をしていくことが最も必要なことだと痛感しています。」

堺市「被保護者キャリアサポート事業」
 この「福祉から就労へ」のモデル事業をハローワークと連携して2005年度に始めた大阪府の堺市では、2014年度現在も「被保護者キャリアサポート事業」として続けられている。この事業は、他の自治体からの視察が多い事業である。これを2012年度の堺市版事業仕分け「みんなの審査会」の資料から見ておきたい。
 まず現状については、「リーマンショックに端を発する経済・雇用情勢の悪化により、平成21年度に入って保護受給世帯数は急増に転じ、その後も、伸び率は低下してきているものの、依然として増加傾向にあり、予断を許さない状況が続いております。
 このような状況の中、被保護者のうち、ケースワーカー独自の支援では就労困難な者に対して、これまで、ハローワークOBを活用した就労促進事業を実施し就労支援に取り組んできました。
 しかし、就労に向けた支援が必要な者と求人のミスマッチがあることに加え、被保護者が抱える複雑な問題に対応するため、より多様な就労支援が求められることから、平成23年6月より、民間企業と連携し「堺市被保護者キャリアサポート事業」を新たに実施しております。
 この事業は、キャリアカウンセラーによる「就労意欲喚起」と対象者のニーズに応じた「求人開拓」、さらには、就労に向けた知識や技術を習得する「就業訓練」を組み込んだ内容となっており、これら三つの事業を連携させることによって、的確かつ強力な支援を行うことが特徴となっています。」と述べられている。
 これに先立つ2011年度事業では、就労開始者数は1651名、うちキャリアサポート事業を通じて就労開始となったのは467名となっている。
 2012年事業としての施策の展開方向性としては、@求人開拓員の増員による幅広い求人の開拓、A就業訓練の拡充、B定着支援の強化について充実強化する、としている。その目標値は就労開始者数を700名と置いていた。その後明らかになった2012年度の実績は、被保護者キャリアサポート事業による就労者数は目標値を超える809名となり、効果額(生活保護費削減額)は4億11万4千円と推計されている。
 この「堺市被保護者キャリアサポート事業」の特色は、先ほども述べられていたが、「就労意欲喚起事業」としての「キャリアコンサルティング事業」、「就業訓練事業」、「求人開拓事業」を組み合わせていることである。そしてこの3事業を民間の派遣会社である「パソナ」に一括して委託していることも特色である。
 2011年度には政令指定都市のうち、堺市のほか、札幌市、さいたま市、千葉市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市の12都市が同様の事業を行っている(堺市の資料による)。このうち、この3事業を実施しているのは堺市のみとされている。
 このキャリアコンサルティング事業、就業訓練事業、求人開拓事業(中間的就労の現場の切り出しを含む)の3事業に、就労後の支援事業としての「職場定着支援相談事業」を組み合わせれば、生活保護受給者や生活困窮者への就労支援事業としてはフルセットに近くなると思われる。

埼玉県志木市の「ジョブスポットしき」
 ハローワークと地方自治体の連携の時代へ
 ハローワークと市との連携を、全国に先がけて協定を結ぶ形にしたのが埼玉県志木市である。2013年6月に志木市役所内に設置された「ジョブスポットしき」について、当時の市長であった長沼明さんのプレゼンテーション資料や厚労省のネット上の資料を中心に紹介する。
 志木市は人口7万2千人、現在も自然増も社会増もあって人口増加中である。東武東上線で池袋まで20分、都心部まで直通で通勤できる。生活保護率は2011年度で10.5%。このとき全国の平均は16.5%、埼玉県の平均は12.4%。平成17(2005)年7月に当選した長沼市長の思いもあってか早くから市としての雇用対策を講じてきた。
 平成18(2006)年7月には、市庁舎1階に埼玉労働局の「朝霞ハローワーク」から職員を派遣してもらいふるさとハローワーク「ジョブスポットしき」を設置している。平成21(2009)年7月には「志木市障害者等就労支援センター」を開設した。
 その中で、国の方では、平成22(2010)年12月22日に閣議決定「アクション・プラン――出先機関の原則廃止に向けて」が行われ、対象として労働局のハローワークが挙げられた。これは民主党政権の「地域主権改革」の一環として、全国区知事会の要望に沿ってまとめられたものである。このアクションプランではハローワークについて次のように整理された。
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(3)公共職業安定所(ハローワーク)
 利用者である地域の住民の利便性を向上させる観点から、まずは、希望する地方自治体において、国が行う無料職業紹介、雇用保険の認定・給付等の事務と地方が行う無料職業紹介、職業能力開発、公営住宅、福祉等に関する相談業務等が、地方自治体の主導の下、運営協議会の設置などにより一体的に実施され、利用者等の様々なニーズにきめ細かく応えることが可能となるよう、所要の措置を講ずることとする。その際、国は地方自治体からの特区制度等の提案にも誠実に対応することを基本とし、国の求人情報等の地方自治体への提供等当該一体的な実施の具体的な制度の内容については、地方自治体の実情に応じて、国と地方自治体が協議して設計する。
 上記について速やかに着手し、当該一体的な実施を3年程度行い、その過程においてもその成果と課題を十分検証することとし、広域的実施体制の枠組みの整備状況も踏まえ、地方自治体への権限移譲について検討することとする。その際には、ILO第88号条約との整合性、都道府県を越えた職業紹介の適切な実施、雇用対策における機動性の担保、保険者の変更等雇用保険財政の根本に関わる議論等に留意する。
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 これに基づき地方自治体からの提案募集が行われた。2012年1月6日現在で、41都道府県と43市区町村から提案があった。そのうち、同日現在で厚生労働省と地方自治体とが直接協議を開始しているものが10道府県、39市町村である。その中でも青森県、新潟県、および札幌市、川口市、秩父市、所沢市、志木市、新宿区、高山市、大府市、倉敷市、井原市、総社市は既に事業を実施している。最も早く事業を開始したのが2011年6月20日に開設された志木市の「ジョブスポットしき」である。
 平成23(2011)年4月に結ばれた志木市と埼玉県労働局との協定書の内容は、おおむね次の通りである。
 1、障がい者就労支援
 ・市は就労支援員を配置し、労働局は特定の日に常勤職員と精神障害者就職サポーターを配置する。
  ・朝霞公共職業安定所と連携して求人開拓、セミナー、職場体験事業等を行う。
 2、生活困窮者就労援助
  ・市は就労支援員を、労働局は相談員を配置する。
 ・就労支援員と相談員は連携して職業相談及び職業紹介、合同面接会、職場見学会、相談、セミナー等を実施する。
3、円滑な運営のために「運営協議会」を開催する。協議会は事業計画及び事業報告を調査審議し、事業計画の数値目標を定める。
 
 「平成24年度ジョブスポットしき事業計画(案)」では、次のように具体的なプランとなっている。
 1、ジョブスポットしきの整備計画 
   執務室として、ふるさとハローワークとして使用していた市庁舎1階にある部屋(47u、以下「執務室1」という)と、これに隣接する部屋(35u、「執務室2」)    をジョブスポットしきの施設とする。ここに国が求人情報端末2台、職業紹介端末2台を設置する。
   「執務室1」(職業紹介コーナー)において、一般職業紹介業務を行う。
「執務室2」(就労支援センター)において志木市在住の生活保護受給申請者、生活保護受給者、住宅手当受給者、母子家庭の母等の生活困窮者及び障害がい者の相談、紹介、就労支援を行う。」
 2、一般職業紹介事業
   (1)内容 埼玉労働局は、執務室1において、度、日、祝日、年末年始を除き毎日、9時から17時まで、職業相談員(一般)(月20日勤務)3名を配置し、来所者の職業相談及び職業相談を行わせる。
   (2)目標 一般職業紹介事業においては、平成24年度中に360人の紹介就職を目標とする。
 3、障害者福祉・就労支援事業
   (1)内容 埼玉労働局は、執務室2又は別室において、毎月第3木曜日の9時30分から16時まで朝霞公共職業安定所の常勤職員1名を派遣して、来所する志木市在住の障害者に対して、志木市の就労支援員と連携して、職業相談及び職業紹介を行わせる。この場合において、埼玉労働局は精神障害者雇用トータルサポーター1名を委嘱して、毎月第2・第4木曜日9時から17時まで必要な心理カウンセリング等を行わせ、また、志木市は就労支援員に、来所する障害者の就労等に関する相談及び朝霞公共職業安定所の常勤職員や精神障害者雇用トータルサポーターとの連絡調整を行わせる。
     志木市は、執務室2において、就労支援員1名を通常勤務日のうち月曜日から木曜日まで、もう1名を火曜日から金曜日まで配置し、9時から17時15分まで障害者に対する就労相談等を行わせる。また就労支援員(求人開拓員)1名を週のうち3日配置し、9時から17時15分まで求人開拓等を行わせる。
     また、朝霞公共職業安定所の職員(ジョブスポットしきの職業相談員を含む)と志木市の就労支援員が連携し、求人開拓、職場定着支援、職場実習その他の事業を行わせる。
   (2)目標 障害者福祉・就労援助事業においては、平成24年度中に述べ670件以上の障害者への各種相談、7人以上の就職(うち3人以上が紹介就職)、100事業所以上(志木市外に所在する事業者を含む)の求人開拓等(4及び3のための求人開拓をあわせて行う)のための訪問、1回以上の職場定着支援、1回以上の職場実習等を実施することを目標とする。
 4、生活困窮者福祉・就労援助事業
   (1)内容 埼玉労働局は、執務室2において、通常勤務日の9時から17時まで、職業相談員(生活保護受給者等)(月20日勤務)2名を配置し、志木市の依頼に応じて、来所する志木市在住の生活困窮者に対する職業相談及び職業紹介を実施する。
     志木市は、執務室2において、就労支援員1名を通常勤務日のうち月曜日から木曜日まで、もう1名を火曜日から金曜日まで配置し、9時から17時15分まで生活困窮者に対する就労相談等を行わせる。
     志木市及び朝霞公共職業安定所は、生活困窮者に対して、合同就職面接会、ミニ面接会、求人開拓、就職支援ミニセミナー等を連携して実施する。
    (2)目標 生活困窮者福祉・就労援助事業は、胚性24年度中に60人以上の就職(うち30人以上が紹介就職)、1回以上の合同就職面接会、1回以上の就職支援ミニセミナーを実施することを目標とする。
 5、若年者就労支援事業
    (1)内容 埼玉労働局は、執務室1において、来所者の職業相談及び職業紹介を行わせる。朝霞公共職業安定所は若年者に対し、合同就職面接会、ミニ面接会、求人開拓、就職支援ミニセミナーを実施する。
    (2)目標 若年者就労支援事業は、平成24年度中に、合同就職説明会、ミニ面接会を適宜組み合わせて2回以上実施する。6回以上の就職支援ミニセミナーを
等を実施することを目標とする。

長沼明市長(当時)のコメント
 「生活保護を受けている市民の方に、職業紹介をする場合、従来ですと、市の職員であるケースワーカーが、受給者といっしょに、志木市役所から車に乗って朝霞市にあるハローワーク朝霞に行き、職業紹介活動を行っていました。ジョブスポットしきが志木市役所に設置されてからは、福祉課からジョブスポットしきまで、同じ志木市役所の1階フロアを移動するだけで、職業紹介活動ができるようになり、就労支援がたいへん効率的に実施で生きるようになりました。
 また、就労支援センターが整備されてからは、障害のある方や住宅手当を受給している支援対象者に、市の就労支援員とハローワークの就労支援ナビゲーター・職業相談員が一体となり、働くことの意義やこれからの生活についても相談に乗りながら、職業相談・紹介をきめ細かく実施。その結果、就労支援センターを利用している生活困窮者の人は、毎週1名のペースで、確実に就職に結びついています。
 市と国が直接連携・協力することにより、生活保護の給付行政だけではない、新しい雇用福祉サービスが着実に提供できているのではないか。この連携は、これからの自治体サービスの新たな可能性を秘めている。」
 
 この「アクションプラン」によるハローワークと自治体と一体化した連携事業は、おおむね好評であり、成果があがっていると見られる。地方自治体からの意見として次のようなものがある。(埼玉労働局発表の報道資料 平成24年6月29日)。
志木市「就労意欲が低下しがちな生活困窮者や、就労先との接点が見いだせなかった障害者などに対して顔の見える距離でケースワーカーと就労支援員、ハローワーク職員が一体的に支援することができるようになった。みずから求人情報を活用し、その場で就職に向けたアドバイスを受けるなど、効率的に対象者と企業を結び付けることができるようになり、着実な成果を得ている。」
所沢市「コーナーが生活福祉課内にあるため、支援を行うにも連携がとりやすい。連携がうまくいっていることもあり、就職が目標を相当高く上回っている。」
秩父市「市の内職相談窓口と同一フロアーで一体的に実施することにより、求人情報の交換が可能となり、的確な求人開拓が実施できるなど、地域の雇用情勢等をスピーディーに把握し、求職者の要望に少しでも反映させるための効果的な支援の可能性が広がった。」
川口市「福祉事務所内に就労支援コーナーを設置したため、生活保護等の相談とともに、具体的な職業紹介や相談もすぐに行えることから、効果的な支援が可能となった。」
さいたま市「市福祉の窓口と国の職業相談の窓口が近くなり、情報交換がしやすくなり効率が上がった。市の支援員ではできなかった細やかな職業相談になり、就職に結びついている。」
 「ジョブスポットしき」の現状は、2014(平成26)年3月26日の平成25年度第一回運営協議会の会議報告書(会長は香川武文市長)によると、平成25年度は目標を達成したとしている。平成26年度の目標は、生活困窮者に対しては、紹介就職30人以上、障がい者の紹介就職5人以上、就労相談件数600件、求人開拓、障がい者と企業とのマッチング、定着支援、実習等の企業訪問20件以上。また、精神障害者雇用トータルサポーターを1名配置する。一般職業紹介では、障がい者及び生活困窮者を含む施設全体で紹介就職300人以上とし、合同就職面接会、ミニ面接会、求人開拓、就職支援ミニセミナー等をハローワーク朝霞と連携して実施する。職員配置は、労働局で就業支援ナビゲーター1名、職業相談員4名を配置する。市は就労支援員2名を配置するとしている。

おわりに 
 これからのハローワークと地方自治体との関係については、まず、分権改革の施策として、全国知事会の要望にある「ハローワークの権限の地方移譲」という問題がある。これは使用者側と労働者側に慎重意見が強く、また知事会内でも温度差があるようで、実現するとしても時間が必要であろう。
 現実的には、埼玉県と佐賀県で2012(平成24)年10月から始まった「ハローワーク特区」による先のアクションプランが施行されているから、3年の期間ののち、その方向性がどこまで普遍化できるかという検証を経てから動き出すことになる。その検証内容としては、志木市など現在各地で取り組まれている、ハローワークと自治体との協定を結んでの連携事業の経験をどこまで活用できるかが焦点である。
 また、厚労省ばかりではなく、経済産業省も産業政策の一環として雇用施策を実施してきている。その一つが2004(平成16)年度から3年度にわたる、「ジョブカフェ」事業である。これは同省の「若者自立・挑戦プラン」の取り組みとして、都道府県と政令指定都市に設置され、「地域の実情にあった、若者の能力向上および就業促進を図るため、就職支援サービスを一カ所でまとめて受けられるワンストップサービスセンター」である。経済産業省からの資金の提供などは2006(平成18)年度で終わり、都道府県の事業となっているが、これには職業紹介事業がついていない。ここに省庁の壁がある。そこでワンストップサービスを実現するために、いくつかの「ジョブカフェ」では、「ハローワークコーナー」を同じフロアに設けている。堺市の「さかいJOBステーション」は39歳までの若年者と全年齢の女性の就職支援施設であり、「JOBカフェSAKAI」と「女性しごとプラザ」が同居している。ここに「ハローワークコーナー」を設け、ハローワークの相談員が求人情報の紹介などを行っている。
 このように省庁の壁を、自治体レベルで超えていくために、より「ワンストップ」に近い仕組みをつくり、それをさらに洗練したものに改善する地道な作業も求められる。

 
 
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