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吉野町殿川地区の小水力発電訪問記

          2015年7月の県自治研集会に向けて
          自治労奈良県本部自治権推進委員会現地調査 Bグループ

奈良県吉野町 殿川地区小水力発電現地ヒアリング等   澤井メモ  

参加者:橿原市職 門川倫治、天理市職 吉岡健治、国保労組 五味忠幸、澤井勝 自治研センター理事長、西田一美 県本部副委員長、吉村耕治 前地域おこし協力隊、坊修司 県本部書記 

2015年6月7日(日)
午前11時半 吉野郡吉野町のカフェ三茶屋(みっちゃや)エコ・エーネ館前に集合。榛原から国道370号線で大宇陀を超え、県道28号線との交差点にある。津風呂ダム湖近く。大和八木から国道169号線で370号線に連絡。東吉野村との村境近く。

車2台で殿川地区に移動(約10分)。標高500メートルまで山道を行く。

「殿川防災ハウス」(地区集会所)前で、殿川小水力発電研究会会長唯一行さん(車いすの一級障害者)、会計の荒木健治さんが待っていてくださる。それに吉村耕治さんが副会長。会長の竹内一さん(自治会長、区長)は後で昼食の時に三茶屋カフェでお会いした。
 唯さんは音楽家(シンセサイザー作曲など)で60歳、ドキュメンタリーやニュース番組などのバックグランドなどもてがける。(バンドもやっている)26年前に生まれ育った西宮市から移住。電気の質の悪さに驚いたことが自家発電発想のきっかけの一つ。
 荒木さんは木工所、製材所を経営、樽などもつくっている。大型水車はここで作った。50歳。木工関係のメンテナンスも担当。開拓農家の三代目。
 吉村さん(39)は大阪市出身、親の家業は電気事業者だった。3年前に「地域興し協力隊」で吉野町に。3年の任期終了後も、殿川地区の貸家に住み、電気事業者の免許を取って、仕事をしながら、発電、直流と交流の転換、蓄電設備などメンテナンスを担当。「田舎暮らしを実現したい。」
 最初にスプーン状のしゃもじを水車の水受けに使った最初の水力発電機を見せてもらった。よく頑張っているので、今は「健気君1号」と呼ばれている。
 水力は幅1メートル程度の用水(川ではない)の水を、自然の傾斜を利用して落とす。
部品は基本的に100円ショップで調達。この一号機は平成24年3月に動きだし、現在も稼働できる。出力4ワットで集会所前のLED照明に使った。
 その後、25年にできた木製の大型水車(直径1.5メートル)を見せてもらってから、集会所の座敷(30畳ぐらい)でテーブルを囲んで座ってお話を聞く。最初に関西テレビの「アンカ−」(2013年3月15日放映)のビデオ(約10分)で、この水車と村おこしのドキュメンタリーを見せてもらう。
 (2013年1月31日、吉野町小水力発電推進協議会が発足、この総会では、関西広域小水力利用推進協議会副会長の宮本博司さんが講演。宮本さんは元建設省技官で長良川河口堰などを担当。淀川水系流域委員会などで大規模ダムに反対する立場で活動)。

 この地区の電気は関西電力が来ているが、末端のためか非常に不安定で、ときどき停電が発生する。電圧も変動する。集会所の前にも灯りが無く、暗かった。吉野町や関西電力に改善を頼んだがなかなか動かない。特に平成22年から23年の冬の大雪では、長期にわたって停電した。ところが、殿川地区の飲料水は川がなく井戸で、そのポンプアップの電源は不可欠。それにインスリンが必要な住民には冷蔵庫が必要だ。そこで自分たち、殿川地区自治会(10戸)で、自分たちの電気をつくろうということになった。「村は村で生きていく」、と覚悟した。
 ここに自分たちがつくった灯りが点ることで、「安心感」がお年寄りにも生まれた。それは「希望」につながる。自分たちの工夫で電気をつくれたことで、「村のかたちが見えてきた」と思う。
 2年後の平成25年6月に木製の大型水車による発電機を集会所のすぐ下につくった。現在も稼働中。水力が同じ用水の自然流下を利用している。直径は1メートル50センチ。
現在は70〜100ワットだが、総出力300ワットが目標だという。去年はこれらの水車見学に全国から300人が来てくれた。そのたびに地区が盛り上がる。
 ただし、ゴミなどが挟まったりして良く止まったりするので、丹念なメンテナンスが欠かせない。この直流を交流に変え、蓄電器に充電して、72時間は灯り等を確保できるようになっている。集会所の照明は。奈良市民生協(奈良コープ)のエコ事業から寄贈されたLED照明6基。冷蔵庫やテレビの電源にもなっている。普段は関西電力からの電力を使っているが、室内で切り替えることができる。話の途中で自家発電の電力に切り替える。「美しく見えるでしょ」。

 殿川地区は昭和22年、60年前に開拓で入ったところ。全国で50カ所あったという。当初は30何軒あったが、今は10軒。高齢化率は70%。一番若いのが、自治会長の息子夫婦で30歳代半ば。ついで吉村さん夫婦。
 現在は杉の人工林だが、40年前に植林したもの。当時の拡大造林事業にのったものだが、今は原っぱがなくなり、つくしも見えないし、ワラビなど山菜も採れない。それまでは、果樹もやっていた。ナシ、スイカ、ブドウ、リンゴ、キウイなど。

 コミュニティバス(スマイルバス)のバスストップが集会所の前にある。一日6本とかなり密度が高い。始発は7時23分、三茶屋までで吉野病院行きに接続。最終は16時52分で下市駅行き。

 三茶屋カフェ、に戻り、昼食をいただく。陶板焼き肉ランチ、750円だったか。ここで自治会長さんにお会いする。(当時はここの経営者だったとのこと)

 カフェの前の駐車場横にある街路灯の電気は、その下にある用水路に設置された、第一号のような小発電機(スプーン状のしゃもじを回転受け皿とし、自転車のダイナモを利用している)で点灯するようにしていた。大型の水車もあったが、設計ミスで回転しにくいため、とまったままとなっていた。

エコ・エーネ館では、徳島県上勝町の「いろどり」の商品も扱っている。人のつながりがで
きている。(フェイスブックから。)


 殿川地区水力発電研究会の副会長でもある吉村耕治さんの報告から。殿川では、後期高
齢者が過半数で身体障害者も居る。その地区で住民の福祉を増進させる取り組みは、日本中
どこでも適用できる仕組みや地域づくりと言える。殿川は開拓村であり、福祉と防災の観点
から小水力発電の活用に取り組むなど、「殿川スピリット」ともいうべき自立した精神を住
民は持っている。そして村に活気をとりもどし、若者に入ってきてほしいという気持ちから
一時途絶えていた「夏祭り」を復活させてもいる。今後は、「福祉と防災の研究村」構想を、
外部の専門家と協働しながらより具体的につくっていくことが必要だ。地域に精通した住
民と外部の専門家などをつなぐプランナーやコーディネーターを生み出すことが鍵になる。





なお、この県自治研集会現地調査には、他に二つのグループが活動した。
Aグループ 大和高田市既存施設活用の研究
 ここには奈良県立大学の学生二人が、短期地域おこし研究員として参加し、大和高田市職労や県職連合、高取町職の組合員と活発に議論し報告書をまとめ、プレゼンも担当している。「映画のまち高田」と「高田市商店街の再生について」が主な論点となっている。
Cグループ 「曽爾村地域活動団体 めだか街道」と「お茶会」研究
 このグループには、曽爾村の現役の地域おこし協力隊二人が参加し、自治労組合員(県職、曽爾村職、宇陀市職など)と報告書をまとめ、プレゼンテーションにも積極的に参加した。
 
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