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地域復興とコミュニティ
     
                          
奈良女子大学名誉教授 澤井勝

(初出:『自治日報』、「コラム自治」201148)

                        奈良女子大学名誉教授 澤井 勝

東北地方太平洋沖地震と津波、原発事故で、改めてコミュニティの大切さが再認識されている。3月末現在、宮城県、岩手県、福島県、茨城県などに2130カ所の避難所があり、187千人が避難所生活をされている。一方で電気、水道、ガスなどライフラインが復活するにつれ自宅に戻る人も増えるとともに、県内外の縁者や自治体の支援施策に頼って移る人も増えている。避難所生活でも自治活動が構築されてきているようだ。住民の一部と役場が一体となって移住する例もある。これらには16年前の阪神・淡路大震災の経験が生かされている。できるだけ元のコミュニティを維持し、また新しいコミュニティを形成できるような避難と復興の道が、苦悩の中で模索されているように感じる。

ところで3月の末に、大阪府四条畷市で、昨年3月からの「四条畷市地域コミュニティ制度あり方検討会」が報告書をまとめて、市長に提案を行った。このときの委員と市長との懇談でも、東北地方大震災での被災各地のコミュティのあり方が主な話題になった。被災地でもいつの日にか小さな祭りが復活できるよう長期の支援をしたいという気持ちだ。

四条畷市は人口57千人、世帯数は23千。市域の中央に低い山地があり、それを越える清滝峠で二つに分断されている。1961年に西部の四条畷町と東部の田原町が合併したものだが、今でも西部は旧市街という色彩が濃く地域自治組織は自治会とともに区長会がある。東部の田原地区には団地ができ、自治会のみで区長会はない。代わりに自治会連絡会が置かれている。市内には小学校が7校、中学校が4校だ。自治会・町内会は32ある。

市では2006年に住民参画型の行政運営などを定めた「第5次四条畷市総合計画」を策定、それを踏まえて、2009年には「四条畷市みんなでつくる協働のまちづくり指針」を策定している。これらを受けて、二つの地域で別になっている地域自治組織(コミュニティ)を統合していく方策を探るために「コミュニティ制度あり方検討会」が設けられた。

四条畷市が位置する大阪府北部では、池田市が2007年に小学校区ごとの「地域コミュニティ協議会」設置を掲げた地域分権推進条例を設けている。この協議会には予算提案権が付与され、地域担当職員が配置される。また豊中市では2007年に自治基本条例を制定、2009年にコミュニティ基本方針を策定し、現在は地域自治システム検討会議で討議中だ。茨木市では2010年から地域担当職員制度をモデル施行、2地区でおのおの3人の地域担当職員を配置している(いずれも各市の資料やホームページから)。また地域就労支援員やコミュニティ・ソーシャルワーカーの設置、運用の経験もある。

四条畷市の議論では、自治会などの地域組織の課題として、役員の担い手不足、高齢化、固定化があり、若い世代をどう取り込むかが挙げられている。また、社会福祉協議会、老人クラブ、PTA、自主防災組織などが市役所の各担当課と縦割りにつながって動いているためにお互いの動きがわからないことも問題だとも指摘されている。これはどの自治体でも共通の悩みだ。

このため報告書では、基本は小学校区単位で、自治会(区長会)、老人会、民生・児童委員協議会、防犯委員会、消防団、保育園、PTA、子供会、NPOなど各種まちづくり活動団体、地域包括支援センター、社会福祉協議会の小地域ネットワーク活動、などによって「校区まちづくり協議会」を組織することを提案している。この協議会をいわば「まちづくりラウンドテーブル」(プラットフォーム)として運営し、地域の課題を共有することが期待されている。自治会など地縁型組織とNPOなどテーマ型組織が問題意識を共有する中で問題解決型の地域ネットワークを形成していくことがポイントだ。この「まちづくり協議会」には地域担当職員が配置される。地域担当職員は神戸市東灘区などがここ数年で経験を積んできている。これなどを参考にしながら進めたい。まずモデル地区として田原地区で協議会を立ち上げ、池田市や名張市での先行事例を参考に財政支援も検討する。

いずれにしても多様な市民が交流し、協働することで災害に強く、また一度打たれてもしたたかに復興できる地域社会と連帯の仕組みをつくっていくことが共通の願いである。

 

 

 

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