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自治体の規制改革と公務労働   澤井勝

(都市学校連絡協議会第58回総会記念講演レジュメ
2006年6月8日:名古屋市丸の内会館)

自治体・公共サービス分野の規制改革と公務労働

                                200668

                       奈良女子大学名誉教授  澤井 勝

1、「経済財政諮問会議」と「骨太方針」

   昨年、2005613日、第15回会議に、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」が提出され、05年6月21日に閣議決定された。

   「小さな政府」を始めて掲げる。

   「市場化テストの本格的導入による官業の徹底的な民間開放」

   「国・地方の徹底した行政改革」

   「公務員の総人件費改革」。国と地方とも公務員数の純減」。地方公務員はこの間の実績値4.6%減を次の5年間、継続する。人事院勧告は、5%切り下げと、地域手当の勧告。なお、329日総務省「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針の策定について」(新地方行革指針)。

063月には「集中改革プラン」が鳥取県などを除いて出揃った。中心は職員数の削減計画と手当ての見直し。

・日本の場合は、既に十分に「小さな政府」なのだが。

 

2、「規制改革」と「市場原理導入」の流れ

 (1)従来からの民間委託、公設民営化、アウトソーシング、など民営化の流れ。国鉄、電電公社、専売公社の民営化から。

 (2)PFI(Private Finance Initiative)法の制定。

     19997月に「民間資金の活用による公共施設等整備等の促進に関する法律」が制定され、20003月にその実現方法を示す「基本方針」を定めた。

 (3)指定管理者制度の導入。20037月地方自治法第244条の23項改正、47項追加等。200610月に全面施行。中心は株式会社などによる「公の施設」管理に道を開くこと。一方で、NPOなど市民組織による施設管理への参加の可能性。専門性の確保に重大な難点。

 (4)市場化テストの導入。規制改革・民間開放推進会議(議長:宮内義彦オリックス会長)の第一次答申(20041224日)。モデル事業は、2005年度に3分野8事業。2006年度に地方税の徴収などで本格施行。

     これに関連して、貸借対照表(BS)と行政コスト計算書(損益計算書)の策定などによる公会計の改革が進む。

 (5)独立行政法人化とエージェンシー。2001年に導入。国立博物館、美術館など。

    20044月から国立大学に。

 (6)公立病院の民間への移譲。福岡県立5病院の民間移譲(2004年)など。それに先立って北九州市立病院など。

 (7)公営交通の民間への移譲。札幌市営バスなどの民間への移譲。

 

3、背景として

 (1)財政構造改革 1973年オイルショックからスタグフレーションの時代をへて、「福祉国家の見直しから福祉社会へ」

  1、アングロアメリカンのタイプ、市場原理主義をかかげて。

    NPM(New Public Management) 1980年代からサッチャーの改革の中で徐々に整理されてきたもの。

2、ヨーロッパ大陸のタイプ、社民的な社会連帯の流れ、ワークシェアリングとコーポラティズム

  3、日本の場合。財務省と経済産業省主導で。経団連など経済界の強い圧力。

経済財政諮問会議と規制改革会議。アメリカの強い圧力(グローバリゼーション)   

と日米構造協議(1990年開始)。本山美彦京大教授「売られ続ける日本、買い漁るアメリカ」次の標的は医療。

 

 (2)官民の協働(行政、事業者、NPOなど市民セクター)とガバナンス論。

   1、各地方自治体の総合計画や福祉計画における「パートナーシップ」

   2、自己決定を求める市民の誕生。NPOなどの市民事業。

   3、ブレア改革においては、PFIをPPP(Public Private Partnership)に展開している。

 

4、これからの公共サービスの新しい三つの担い手と協働。ガバナンス(垂直的な支配のガバメントから、水平的に協力し合う協治(ガバナンス)の時代。

市場原理の導入による所得価格差の拡大、非正規雇用者の増大、家族の変容にこたえて

新しい公共サービスをつくる。

(1)行政   

(2)企業

(3)市民組織

   ・コミュニティ、すなわち自治会など地域住民組織

   ・アソシエーション、すなわちNPO型の組織

 

5、「協働の原則」の明確化とコントラクト(契約)

    (奈良市ボランティア・NPOとの協同検討委員会案、20057月)

   1、対等  2、相互理解  3、自主性の尊重  4、自立化の推進――依存や癒着関係への警戒  5、目的の共有  6、公開  7、共に変わること  8、期限付き

 

6、競争にさらされる「公務員の担う労働」

 (1)大前提として、行政は税金で賄われている、ということを改めて確認することが大事だ。 

   市民にいただいたお金で公務サービスが行われていること。

 

(2)指定管理者と市場化テスト、民営化

NPOなどと競争しつつ、市民の評価に耐えられる仕事と働きの実現が求められる。「大変なことをようやってはる。」「ほんまにお世話になってます。」「親身になって相談に乗ってくれはる。」

今までの蓄積やノウハウを生かす。培われた専門性を生かす。

 

7、市民的公共性(新しい公共)の確立と協働を進めための公務員労働組合の役割。

 

(1)労働組合の特質。(学校の場合、校長の権限が強くなり過ぎている傾向)

   家族の変化と格差拡大、地球環境問題の深刻化など市民生活の変化に立ち後れる行政の活性化のために。具体的には「行政の縦割りを超えて」。

 

(2)市民は「よき政府」を求めている。

    1、市民や利用者の側に立って、問題を考え、解決する公務員を求めている。そこにおける公平性、正当性の確立。特権を守るのではなく、市民や利用者、児童や生徒の権利を守る労働者を求めている。

例1:養護学校の給食における食器を陶器にするか、どうかの問題。

例2:生活習慣病対策も含めた食育のすすめ。

例3:残菜が出ない、おいしい食事と楽しい食事。

例4:給食を通じた環境教育のありかた。

 

    2、コストがかかっても筋の通った政策を。

      例1:ビオトープの管理と環境教育。

 

    3、供給側の都合を優先しない姿勢が求められる。

      例1:検診する場所の設定は分散より集中が、効率的で手がかからない?

 

    4、ラインをきらずに、管理部門を縮小することを求めている。現場は、行政を市民のものにするよう変えていくヒントや施策の宝庫だ。

      例1:行政への苦情は、サービス改善のてこになる。

 

(3)自治研運動の展開に向けて。

  ・職場自治研、私たちの仕事はなんのために。

  ・地域自治研

  ・これらを通じて「私たちの仕事はどういう仕事か」を明示する。

  ・

(4)非正規労働者との連帯。

  ・働く者、全ての権利を守る公務員労働組合。

 

(5)地域住民の生活課題ときり結ぶ。

   たとえば・・・・。

子育て支援。

自主夜間中学と共生社会。

   民間デイハウスのボランティア。

   地域で生きる障害者の生活を支える。

   日本野鳥の会に入って、竹を切る。

   税務相談など、なんでも相談。

   グラウンドワークで地域市民事業を支える(三島)。

 

(6)国際支援の活動や、地球環境問題への取り組みなど新しい社会運動の担い手に。

   ・空き家を借りて地域活動拠点をつくり、担う。商店街の空き店舗でもいい。

 

おわりに

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