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支所と自治
     
                                              澤井 勝

                                    (初出:自治日報 04年12月5日)

 市町村合併はいろいろな問題を抱えながら、054月には市町村数2500を切りそうだという。ここであらためて問題となるのは、合併市町村における周辺部の過疎化であり、衰退である。依然として新自治体の「一体化」が性急に図られる傾向がある。駆け込み的な事業も見られるが、これらの施策が立ち枯れないとも限らない。

このようなデメリットを回避し、合併した市町村の特色と歴史を尊重し地域の活力を生かした新自治体建設のために、それぞれのところで工夫が行われている。このようにして、「総合支所」や「分庁舎」方式を採用したところが多い。もちろん合併実現のための妥協の産物としてという色彩も濃いのだが。

 また一方で、5月の地方自治法改正で「地域自治区」が新設された(第202条の4から9)。自治区には職員を所長とした事務所と住民による「地域協議会」が設置される。また、政令指定都市では横浜市や京都市などで行政区への分権化の議論が具体化しつつある。この分権化の議論は、当然のことにこの「地域自治区」への移行も視野に入れたものとならざるをえない。

 ところで、「支所」の展望である。20世紀型の最後の合併ともいえる篠山市など「集権型・集中型」合併の際に設けられた「支所」は、単に住民サービスの窓口を処理する機関となる傾向が見られる。そうなれば、遠からず支所の廃止、窓口業務の民間委託ということになり、昭和の大合併の轍を踏む。自治は無くなり、行政の末端が残るだけとなる。

そうさせないために、現合併特例法では「地域審議会」を置くことができるとされ、事実多くのところで設置されている。しかし、この「地域審議会」が、いわゆる「諮問機関」に終わっているようだと、地域の活性化の拠点になり難いのも事実だろう。このような審議機関を、地域の現在と将来の課題を住民が共有し、それに基づいて「地域の振興計画」を策定するものに編成しなおすことが必要だ。また、その「振興計画」を実行するプロジェクトを担う実行委員会が、支所との協働によって置かれるべきだ。41日に発足した京丹後市では、この10月に6つの旧町ごとに「地域振興協議会」が設けられた(各18名の委員で半数は女性)。この「地域振興協議会」は、地域に係わる予算と建設計画の進捗状況の説明を受け、振興基金の果実運用に関して協議し、地域の振興政策について提言を行う。つまり、「住民協議による自治」の場となる可能性をもっている。これに「地域活性化プロジェクト市民実行委員会」(仮称)が加わると、面白い。

地域自治を振興する「支所」は、「市民活動支援センター」としての機能をもったものとして位置付けられる。本庁レベルでのNPOやボランティア支援センターとともに、地域での自治会や、NPO、ボランティアの活動を、資金面や活動場所の提供、さらに情報の提供や討論、コンサルテーション、によって支援する。

11月に発足した伊賀市では、「市民活動支援センター」についての中間報告がまとめられている。これは本庁レベルでのものだが、「情報収集提供機能」、「調査・研究機能」、「財政的支援機能」、「総合的窓口と人材派遣・育成機能(コーディネート・リーダー養成)」、「場や機材の提供機能(サロン・人材交流機能)」、「団体等活動評価機能」、「コミュニティ・ビジネス支援機能」などをもったものとして構想されている。

つまり、第一に支所機能を「総合相談機能」と「市民活動支援機能」および「ソーシャルワーカー機能」もったものとして展開することで、地域活性化の行政側のセンターとしたい。そして、第二に「討議」し、責任をもって「協働して行動する」ために、「住民協議会」と「実行委員会」を設けることで、住民「自治」を活性化する。そのためには、第三に「支所」には予算編成への参加と、予算執行権の一部の移譲が求められる。その上で、第4に、市役所の各部局が地域で実施する事業には、必ず、住民参加の方式を組みこむことが求められる。「住民参加なくして○○行政なし」が標語となるとはずである。それは国土交通省の道路行政や河川行政に導入されているもので、その方式を市行政の中にもっと徹底したいものだ。

 

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