都市計画法による市街化区域内農地について、近傍宅地との課税上の均衡をはかる土地税制のひとつである。1971年度以降、朝令暮改のように改正が続き、92年にようやく決着がつけられた。
きっかけは1969年の都市計画法改正で実質上宅地であるのに農地に偽装して大幅な固定資産税、都市計画税を免れているいるのではないかという批判が生じたことである。さらに70年8月には「地価対策閣僚協議会」決定の地価対策で、宅地供給の拡大、地価騰貴の抑制を図るために、農地の宅地化を推進することが政策化された。
71年度の税制改正では、農地を地価に応じABCの三段階に区分、72年度から76年度にかけて宅地並み課税を実施しようとした。しかし農業団体の反対で見送りとなり、再度76年度から2年間でAB農地を宅地並み課税、Cのうちは82年度から実施とされた。この間多くの市町村では増税分に対して緑地保全補助金などの交付を行うなど、実質的な骨抜きが行われた。82年度には再び「長期営農継続農地制度」の導入で10年間徴収猶予となった。その後の地価暴騰対策として、92年度より生産緑地法が改正され、C農地を「宅地化する農地」と「保全する農地」に区分し、後者を「生産緑地農地」として、長期継続農地制度を廃止した。かくして農地の宅地並み課税が二分の一軽減特例をつけて実施された。生産緑地は農地課税とされたが30年後または農業をやめたときには自治体に対して買い取り請求ができるとされた。
この結果、市街化区域農地の宅地化がすすんだが、住宅建設よりも駐車場とか、環境の後退がすすんだという批判もある。
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