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シャウプ勧告

 日本の戦後の税制の骨格をつくった勧告で、一九四九(昭和二四)年五月八日に来日したシャウプ博士を団長とする一行は、その年の八月二五日に第一次勧告を行った。その目的は、税制自体の体系性と恒久性を確保するために負担の公平性と資本価値の保全を租税原則の基礎とし、間接税偏重から直接税中心に改めることであった。そして地方税制の確立、国庫補助金の原則廃止、地方財政平衡交付金制度の創設を求めるとともに、国・都道府県・市町村の間の行政事務権限の配分を、行政責任明確化と市町村優先の原則のもとに再構成することを求めた。これは地方自治の確立によって市民の力をつけ、市民社会と民主主義の基礎を作ろうとするものだったと評価される。最近になって改めて注目されてきたヨーロッパ自治憲章などの柱となる「補完性の原理」が、既に明確に提起されていた。
 税制としては、国税と府県、市町村税の税源分離と市町村税の強化と拡充が勧告された。市町村民税の強化、固定資産税の拡充改組、府県税としての付加価値税の創設(所得型付加価値税)などである。一九五〇(昭和二五)年度からの地方税法改正によって、そのかなりの部分が制度化された。国税では、所得税の総合課税と累進課税が柱になり、財産課税として富裕税とキャピタルゲイン課税が導入された(付加価値税、富裕税などは実施されず廃止)。一九五三(昭和二八)年のサンフランシスコ条約による講和後、次々と改正され一九五五(昭和三五)年ごろまでにその基本のところで骨格が失われたとの指摘もある。とはいえ、本勧告の思想は、現在もなお税制や地方自治を考えるときに必要なひとつの基本的な基準を提供している。

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