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財政再建団体と財政健全化指標

 2007年6月に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が成立し、2008年4月から施行された。これによって、2009年度以降は「地方財政再建特別措置法」による財政再建から、この新法による財政再建に移行する。特色は、連結決算の考え方を導入したこと、それに早期に健全化計画策定を義務づけたこと、である。
 地方自治体は2007年度決算(2008年夏に明らかになる)から、毎年度4つの「財政健全化判断比率」指標を公表することが義務づけられた。その4つの指標とは、(1)実質赤字比率(従来の財政再建団体入りの基準となっている)、(2)連結実質赤字比率(新、全会計の実質赤字等の標準財政規模に対する比率)、(3)実質公債費比率(一般会計と公営企業会計などの連結公債費比率で、既に06年度から作成され、公表されている)、(4)将来負担比率(新、普通会計、公営企業会計、出資法人、第三セクター、将来の退職手当等を含めた普通会計が負担するべき実質的負債の標準財政規模に対する比率)である。2008年度決算から、これらの指標に基づいて「財政健全化」「財政再生」(財政再建)が行われることになる。
 まず、4つの指標のうち一つでも別に政令(自治法の施行令)及び省令で定める「早期健全化基準」以上に該当することとなった場合、自治体は自ら「財政健全化計画」を定め、議会の議決を得なければならない。いわゆる「イエローカード」=「早期是正措置」である。さらに悪化が進んで、(1)から(3)までの指標のどれかが、同じく政令等の定める「財政再生判断基準」以上の場合、すなわち「レッドカード」が出た場合は、総務大臣との協議と同意のもとに、議会の議決を経て「財政再生計画」を定めなければならない。すなわち、「実質赤字比率」「連結実質赤字比率」「実質公債費比率」のいずれかが「財政再生基準」を超える場合である。これが旧法での「財政再建団体」にあたる。
 「早期健全化基準」について。まず「実質赤字比率」では、早期健全化基準は市町村が標準財政規模の大きさによって11.25%から15%、都道府県が3.75%である。「連結実質赤比率」では市町村が16.25%から20%、都道府県が8.75%が早期健全化基準とされている。「実質公債費比率」においては、早期健全化基準は市町村、都道府県とも25%とされている。「将来負担比率」では市町村が350%、都道府県が400%である。「将来負担比率」は早期健全化基準としてのみ活用する。
 「財政再生基準」について。「実質赤字比率」では、旧法と同じ市町村20%、都道府県5%である。「連結実質赤字比率」での「財政再生基準」は、市町村が30%、都道府県が15%とされている。これには経過措置があり、08、09の両年度の場合は都道府県25%、市町村40%とする。10年度はそれを都道府県20%、市町村が35%とする。「実質公債費比率」の「財政再生基準」は市町村で35%、都道府県も同じく35%としている。公営企業の場合、「資金不足比率」20%を「財政健全化基準」とし、「財政再生基準」は定めなかった。
 なお実質公債費比率の計算は、理論的な経常一般財源である標準財政規模を分母とし、分子に地方債の元利償還金と準元利償還金を置き、この分子から元利償還金に充当した特定財源と、交付税の基準財政需要額に算入される額を控除する。この「特定財源」に都市計画税および公営住宅使用料などの特定財源を新たにカウントするようにしたため、分子がそれだけ小さくなり、実質公債費比率が小さくなる。これが今回の大きな制度的変更である。これは特に大都市部での基準の緩和を狙った措置であるといってよい。
 財政破綻を防ぐには、(1)財政健全化指標および経常収支比率などを適正な水準に維持するとともに、公共サービスの品質を向上させるべく行財政改革を進める。(2)財政状況の積極的な公開と説明責任を果たす。(3)本格的な計画行政を進める。(4)予算編成過程の公開と市民参加を推進する。要するに自治体の財政を市民にオープンにし、コントロールが聞くような仕組みを構築することである。そのためには、市民もまたこれらの情報を分析し、評価できる能力をつちかうことが求められている。

旧法によるもの
 赤字団体(実質収支が赤字の自治体)が財政の建て直しを行うには、二つの方法がある。ひとつは「地方財政再建促進特別措置法」にもとづき、同法を準用して行うもの。もうひとつは再建法によらず自力で赤字を解消しようとするものである。前者を準用再建(再建法第二二条二項に基づいて全部適用団体に準じて自治(総務)省の指導を受けて行う)といい、後者を自主再建と呼ぶ。
 赤字になった自治体はその不足額の多少にかかわらず議会の議決を経れば自治(総務)大臣に再建の申し出ができる。実際には、昭和三六年度以降、実質収支比率が都道府県で五%、市町村で二〇%以上となると、議会の議決を経た財政再建計画を策定し、自治(総務)大臣の承認を受けなければ、地方債の発行が制限される(再建法23条1項、同施行令第一一条の二)ことになっている。
 財政再建団体は自治大臣の指導のもとで財政再建計画を立てるが、その内容は(一)住民税等につて標準税率を超えて課税するなど歳入増計画、(二)職員の整理・給与水準の引き下げ・事業の切り捨てを中心とした歳出削減計画を含まなければならない。
 準用団体に対する財政措置は、一時借入金について政府資金の融資あっせん、一時借入金の支払い利子及び退職手当債について特別交付税による利子補給の措置、退職手当債の発行許可と地方債の制限解除がある。

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