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バランス・シートと行政コスト計算書

 企業会計においては、一定時点における財政状態を明らかにするために、全ての資産・負債・資本を記載したバランス・シート(BS)や損益計算書を作成しなければならない。これに対して、地方自治体の財政状況を示す指標としては、財政の収支尻や債務残高の標準財政規模に対する比率などが利用されてきた。しかし、一九九〇年代に入ってから、広く市民や国民に行政運営の効率性の程度を示し、説明責任を果たそうとの意図から、企業会計におけるバランス・シートや損益計算書(自治体の場合は行政コスト計算書という)の導入の試みが行われてきた。
 本格的なバランス・シートや損益計算書を作成するためには、従来の現金主義会計から発生主義会計への転換や複式簿記の導入により資産と負債を正確に把握する必要がある。この資産・負債を正確に把握することで、事務事業に対するコスト意識を高め、行政サービスの提供に伴なう費用対効果の関係を明確にすることができるという期待がある。
 一九九八(平成一〇)年には都道府県で初めて三重県が発生主義の考え方を加味したバランス・シートの試作品を作成した。また市町村では大分県臼杵市が同じく九八年に検討委員会で作成している。しかし、地方自治体の保有する資産は、社会全体の共通資本である場合が多く、市場価格では一概に評価できない側面がある。そうした面をどのように公会計として取り込んでいくかは、今後とも検討を要する課題である。
 総務省は二〇〇〇年三月と二〇〇一年三月に、「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会」の報告書の形でバランス・シートと行政コスト計算書の作成方式を提案しており、多くの団体がこれに準拠して作成している。二〇〇四年七月段階では、四七都道府県が二〇〇二年度のバランス・シートを作成し、四三団体が行政コスト計算書を作成している。市区町村では三一五五団体のうち五六・一%に当る一七六九団体がバランス・シートを作成しており、行政コスト計算書は三〇・三%の団体が作成している。

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