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分権改革と地域自治組織


 0411月自治体学会近畿ブロック研究会報告に051月に加筆)

                                       1、21世紀初頭の自治体改革のトレンド

A、背景と動因

 (1)政府の信頼度の低下。集権型官僚制、行政国家への不信。政府監視のための「情報公開」制度。過大な政府の非効率。危機管理の脆弱性。阪神淡路大震災。

(2)産業主義の限界。大量生産・大量消費から質への転換。ローマクラブ『成長の限界』1971年、レイチェル・カーソン『沈黙の春』1962年。

    地球環境の危機1997年京都議定書。

(3)財政危機と歳出規模の圧縮圧力、三位一体改革のひとつの流れ。予算制約の深刻化、従来の範疇での行政需要の拡大にそれまでの政府規模では対応できないことが明白に。国民負担率の限界。

(4)グローバリゼイションとグローバリズム。IT革命。市場経済の拡大、深化とその矛盾(貧富の差、人権の無視、廃棄物など環境破壊)の深刻化。プライバタイゼイションの功と罪。

(5)民主主義の復位

   1960年代後半から、当事者主体による自立と自立、自己決定と自己責任、新しい社会運動の流れ、ノーマライゼイション、

   福祉国家から福祉社会へ(正村公宏、武川正など)

 このような流れや問題を前にして、これらの問題に振り回される状況を脱却して、地域のこと、地域の生活については地域の住民で決める、という意識が明確に生まれてきた、とも言える。

 

B、トレンド

(1)地方分権  ・法令の解釈権が地方自治体に。

          ・「指導」と「被指導」関係の廃棄。
 (2)行政・市民・事業者の「協働」すなわち「ガバメント」から「ガバナンス」へ、そして「協働」のルール(コンパクト)づくりに。

 (3)自治体内分権 組織のフラット化および予算編成と執行の現場への移譲。

 (4)公共サービスは「新しい公共」で。NPOなどと結いの伝統。

 (5)市民のエンパワーメント、すなわち地域で自己決定することを望む市民の登場。
     1,地域的な課題を争点とした住民投票。合併を争点とした住民投票。吉野川河口堰。新潟県巻町。

2,地域活性化とまちづくり。集権化と東京一極集中への対応。

3,高齢社会への対応。

これらをも背景とした「近隣自治」、「地域自治区」「地域自治組織」論と実践の展開。京都市上京区春日学区。栄村、美山町、泰阜村、十津川村。横浜市、世田谷区、高知市。神戸市、北九州市、福岡市。宝塚市。

 (6)市町村合併の衝撃。2000市町村時代の自治体は、「集権型・集中型」か「分権型・分散型」か(大森弥)。

2、近隣自治の考え方の広がり。


 (1)自治省の「コミュニティ政策」 都市センター・ブックレット『近隣政府への途』の遠藤文夫氏基調講演など。

     1、町内会や自治会は消滅していく、という想定は間違っていたことの確認。

   2,近隣自治機構 Aタイプ 住民参加・協働型

                Bタイプ 1、近隣自治政府移行型。法律・条令の根拠。

                      2、近隣自治政府型 パリッシュ、スエーデンの                         近隣自治体。代表制。

 (2)新しい公共空間への展望を開く。

     1,ハーバーマスの『公共性の構造転換』におけるイギリス革命のゆりかご「コーヒーハウス」。フランスでのサロンとドイツでのクラブ。

   2,市民は自らを組織する。コミュニケーションの場としての組織。
          ハーバーマス「討議民主主義」と「第二の近代」(篠原一『市民の政治学』岩波新書)

   3,市民組織(住民組織)の2類型。

イ、アソシエーション テーマ型組織。NPOとボランティア。

       ロ、コミュニティ 町内会・自治会型組織。老人クラブ、婦人会、子ども会、消防団、民生委員、防犯協会、交通安全協会。

     4,「地域福祉計画」を住民が作り、担うものとしてつくる。策定委員会は市民組織の2類型から。それに学識経験者と行政担当者。

・職能組織のありかた。商工会、商店街連合会。医師会、施設協会、学校関係者。祭りの組織。農協など農業者、漁業者。工場団地。社会福祉協議会。

 

 (3)地自治法改正による「自治区」および「住民協議会」の可能性

     地方自治法第204条の4から9

 (4)なにをするか。

   1,住民、市民の力をつける。

         イ、たまり場を作る。地域に拠点を作る、ぞのための地域への投資(施設、資金、情報、人材)。

         ロ、継続的に討論する場を設ける。(行政と業界、市民の2類型=後述の「地縁的コミュニティ」と「課題別アソシエーション」との)

@、総合計画実施計画とまちづくり協議会。

A、地域福祉計画と地域福祉推進協議会など。

B、市町村環境基本計画と環境政策推進協議会。

C、地域雇用就労支援センターと推進協議会。

     ハ、情報の公開をより徹底する。

      @、口利き情報の公開と管理。

      A、住民、市民への説明責任を果たせるかという基準。

      B、わかりやすく加工した情報と説明。

      C、事業の企画段階からの住民参画。

          D、出前説明と車座議論へ。市民も自らできることを議論するように組み立てる。

          E、概算要求段階の予算の公開と説明、当事者など予算編成への参加。

        ニ、行政はまちに出よ。本庁のフラット化などによる「小さくて強力な企画調整、執行体制」の構築と人員の現場への厚い配置。権限と予算編成、執行権の現場への付与。

          @、まちづくりコーディネーターを地域自治組織に配置する。

             ・拠点整備と構築、運営のための情報収集および整理、そして相談。
             ・当面の対象は、まちづくりにたずさわる、地区役員、NPO、住民、コンサルなど。

             ・資金面での助言、組織運営のノウハウ。

             ・制度および法令の解釈と運用。利用したり、活用したりする立場に立って。

          A、権限を持った環境レンジャーがボランティア、住民組織と協働する。

・産業廃棄物、自然保護、水質監視、
・環境教育

      B、福祉ソーシャルワーカーの配置。地域自治組織か中学校単位(在宅介護支援センター)単位で。個別の相談に応じて、インテークからアセスメント、必要なサービス機関への紹介、施設入所、給付の開始、途中経過のモニターと相談。一人のソーシャルワーカーの持つケースは40ケース未満など。


   2,企業文化を変える

         イ、企業の社会的責任CSR(corporate social responsibility)と社会的責任投資(SRI=socially responsible investment)の流れに。

社会的責任とは 環境配慮たとえばISO1400男女共同参画。障害者雇用。法令遵守(コンプライアンス)。公正な外国人雇用。働きやすい雇用環境。ファミリー・フレンドリーな企業。資源管理、熱帯林保全。ゼロエミッション。省エネルギーなど。

     ロ、このことは事業者としての自治体にも公平に求められる、社会的な基準である。

     ハ、そのために入札制度の改革。

総合評価一般競争入札と電子入札。(武藤博己『入札改革』岩波新書)

 

   3,行政を変える

          イ、事務事業評価による事務事業の「棚卸し」。

    ロ、部内の政策評価を予算編成に結びつけて、ビルド・アンド・スクラップ。渡しきり予算。

    ハ、市民による政策評価制度の導入、まちづくり指標の作成と公開

    ニ、行政のフラット化と権限の現場、窓口への移譲。その支援制度。

    ホ、地域自治組織の結成。権限と予算の移譲。予算執行権の移譲。

     @、重層的な地域。大字、小学校区、中学校区、旧町村。

     A、地域住民協議会(まちづくり協議会または市域振興会など)

        その選考をどうするかは大きな課題。  

     B、地域自治組織ごとの予算と決算の編成と公開、論議。

     C、地域自治組織の財産。

    ヘ、「協働のルール」の協働での策定と公開。行政内部への徹底。

    ト、政策評価に協働への積極度や理解度の基準を導入する。

    チ、職員の人事評価基準に、(個人としての)地域活動への参加度、住民への支援活動(職務としての)を、プラス評価項目として位置づける。

 

おわりに

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